京都でひな祭りに食べる「ひちぎり」をご存知でしょうか?漢字で書くと「引千切」。そう、引き千切る!
「響きは上品なのに乱暴な感じ。」なんて言わないで!乱暴なのではなく、多くの人に食べてもらおうとすると引き千切って作るしかなかったのです。ちなみに引き千切るのはお餅。なので、「ひちぎり餅」とも呼ばれます。
ひちぎりは昔、宮中で女の子の幸福を祈る行事の際に作られていた和菓子です。あまりに多くの人が求めるので、忙しすぎて引き千切って作ったのがルーツだと言われています。
さて、そんなひちぎりですが、実はある形をしています。何だと思いますか?
答えは「柄杓(ひしゃく)」。柄の部分が引き千切られているように見えますね。ひしゃくの上には赤や白の餡やきんとんを載せます。
また「子宝に恵まれますように」という願いを込めて「阿古屋貝(あこやがい)」の形にした、という説もあります。
現代ではお餅を引き千切るほど忙しい!という事はあまりないかもしれませんが、当時の引き千切った形が今も再現されているんですね。引き千切った形に丁寧に整える、と言うとおかしな表現ですが、意外と手間が掛かっているのかもしれません。
さて、ひちぎりは茶道の和菓子としても用いられています。せっかくなので宇治抹茶と楽しむのも良いですね。もちろん抹茶だけでなく緑茶にも合います。昔の宮中に思いを馳せて…風流に、優雅に。ちょっぴり大人なひな祭りを楽しんでみてはいかがでしょうか?
(こちらの記事はALCOで紹介したものです。)