奈良時代に遣唐使が伝えた清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)をいただいてみました。【実食/京御菓子司「亀屋清永」】

「清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)」の画像現在も京御菓子司「亀屋清永」さん(本店:京都市東山区祇園石段下南)が作り続ける「清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)」というお菓子があります。

清浄歓喜団は遣唐使が唐(中国)から仏教とともに日本へ伝えた唐菓子(からくだもの・からがし)で、密教のお供え物のひとつです。

唐菓子は日本の和菓子にも大きな影響を与えたと言われていて、「梅枝(ばいし)」「餲餬(かっこ)」「桂心(けいしん)」「黏臍(てんせい)」「饆饠(ひちら)」「団喜(だんき)」など様々な形をしたものがあります。

清浄歓喜団はこのうち「団喜」に当たります。形は金袋型で、目を引く上部の八つの結びは「八葉の蓮華」を表しています。

「清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)」の画像2

ごま油で揚げてあるので、食べる前からごま油の良い香りが漂ってきます!

そして中の餡には何と「清め」の意味がある「お香」が7種類も練り込まれているんですよ!

実際にいただいてみると、上品な香りが確かに何種類も感じられました。温めていただくと更に香りが立って分かりやすくなります。

この風味は他では味わった事がなくて、とっても特別な感じがしました。外側のカリッとした食感も楽しいです。

こちらの清浄歓喜団、伝来当時は庶民が口にする事はできず、位の高い人々の間で食されていたようです。

中の餡はもともと栗、柿、杏子などに薬草で味付けしたものが使用されていて、徳川中期以降に小豆の餡に代わったようです。

お供え物としての意味合いがある清浄歓喜団は、味からも形からも「手の込んだ有り難いお菓子」だという事が伝わってきて、ただのお菓子というよりも、人々の色んな思いや願いが込められた高尚なものなんだろうな~!と感じました。一口ひと口ゆっくり噛みしめながら、しみじみ味わいたいお菓子です。