どうやって使う?薬局でもらったこのくすり【2 吸入するくすり】

吸入する薬の画像お薬を吸う方法

吸入薬には大きく分けると、ガスボンベの圧によって薬を噴霧するボンベ式と、粉薬を自力で口から吸い込むことで呼吸器に行き渡らせるドライパウダー式があります。
それぞれのお薬で容器や使い方はさまざまですが、使い方の基本は次のとおりです。

・息を、自然に(ボンベ)/しっかり(パウダー)、はいて
・吸入器を、口の前に持ち(ボンベ)/口にしっかりくわえ(パウダー)
・ゆっくり3数えながら、大きく吸う(ボンベ)/はやく深く、吸う(パウダー)
・息を止めて5数える:お薬が呼吸器の中にとどまるために大事な時間!
・息をはく
・うがいをする:最後にうがいをすることで、声がかれるなどの副作用を防ぐことができます。

 

どのタイミングで吸えばいい?

・喘息発作治療薬:リリーバー(短時間作動型beta作動薬)
呼吸が苦しいとき(発作のとき)に吸うお薬です。夜中に咳で起きてしまったときに吸いましょう。
また、運動など、あらかじめ発作が起こりそうな活動の前に吸っておくことで、活動中にしんどくなるのを防ぐ働きもあります。

・COPD治療薬:LAMA(長時間作用型ムスカリン受容体拮抗薬)
毎日使います。習慣づけて忘れないタイミングならいつでもかまいません。
寝る前に使う方が多いようです。歯みがきのあとなどがよいでしょう。うがいを習慣づけられるとよいでしょう。

・喘息予防薬:コントローラ(ICS/DSCG)
毎日吸います。習慣づけて忘れないタイミングならいつでもかまいません。
たとえば1日1回のお薬は歯みがきの前、1日2回のお薬は、朝と寝る前に使う方が多いようです。
吸入の後のうがいまで、習慣づけられる時間帯を選ぶとよいでしょう。

 

薬の種類 ︎

【吸って空気の通り道を健康に保つためのもの】

・空気の通り道を広げる狭い道を拡げる薬(beta2受容体作動薬)
空気の通り道である気管は、筒の形をしています。その筒の中を広げるお薬です。空気が通る空間がひろがり、呼吸が楽になります。

・じゃまな分泌物を減らす薬(M受容体拮抗薬)
空気の通り道である気管の中には、刺激に応じて分泌物が出てきます。これは外から入ってきた刺激物を洗い流すためのものですが、出すぎると気管の中をふさいでしまいます。
このお薬は、空気が通るのをじゃまする分泌物を減らすことで、呼吸を楽にし、症状が悪化するのを防ぎます。お薬を使うことで、死亡リスクが下がることも知られています。

・刺激に負けない・呼吸器が硬くならない・炎症を抑える薬(ICS)
気管や肺の中には、刺激に応じて白血球などの炎症細胞が集まります。刺激が繰り返されると、やがてその刺激をすばやく排除できるような免疫が獲得されます。
このメカニズムは、もともと刺激をくしゃみや咳で外へ出すための防御反応ですが、ときに刺激に対する過剰な反応を起こすことがあります。この過剰な反応はアレルギー反応とよばれます。ぜん息はアレルギー疾患のひとつです。
繰り返される刺激とアレルギー反応によって、気管の壁は厚くなり、空気のとおりみちがせまくなったり、分泌物で詰まったりします。また、肺は次第に固くなり、ふくらんだりしぼんだりする性質が損なわれて、十分に呼吸できなくなります。これを線維化といいます。
ぜん息の治療には、吸入ステロイド(ICS)を使用します。ステロイドは抗炎症薬です。5歳未満の小児の場合はほかの抗炎症薬(DSCG)が使われることもあります。
ステロイドなどの抗炎症薬を使うと、炎症細胞を抑え、過剰な反応であるアレルギー反応が起きにくくなります。長く使うことで、気管の壁が厚くなったり肺が線維化したりするのを防ぐことができます。

【インフルエンザウイルスが増えないようにするもの】

・抗インフルエンザウイルス薬(ノイラミニダーゼ阻害剤)
インフルエンザウイルスは、のどの奥の細胞に侵入して増殖し、つぎつぎにほかの細胞に感染してやがて全身で症状を引き起こします。抗インフルエンザウイルス薬は、ウイルスの増殖を防ぐお薬です。

 

「こまだゆう薬局」管理薬剤師 中川 史津氏の画像こまだゆう薬局
管理薬剤師 中川 史津氏