【お薬手帳はどこで活躍しているでしょう】
<災害時に紙の手帳が役に立つ>
お薬手帳は、もともとは地域の薬局や病院の独自サービスとして開始されたものが、2000年に診療報酬の対象となりました。
その背景の1つには、1995年の阪神淡路大震災があります。大災害時にはガスや電気などの機能が停止してしまうため、コンピュータで保存された医療データを閲覧できない事態が発生してしまいます。そういった時に、紙媒体であるお薬手帳は活躍するわけです。
記憶に新しい2011年 東日本大震災のエピソードでは、お薬手帳を持っていない方は、持っている方と比べてお薬をもらうまでに6時間も多くかかってしまったということが報告されています。
<避難所へも持っていきましょう>
近年、京都も台風や大雨といった災害に見舞われています。避難所に行ったというお話を聞く場面も増えました。
地域ケア会議では、防災をテーマに挙げられることも少なくないですが、お薬を取りに帰る羽目になり大変だったといったお話を聞くこともあります。無事に済んでよかったケースではありますが、避難生活と薬は大きな課題です。
薬が取りに戻れない場合、替わりとなるお薬の手配をしなければいけません。
その時には、お薬手帳がお手元にあったほうが絶対にスムーズです。
これを読まれた方は、緊急時の持ち物リストにお薬手帳を加えてほしいと思います。
【薬剤師からのメッセージ】
お薬手帳は、普段の診療の際にはもちろんですが、災害や事故が起きた際、皆さまの代わりになって正しいお薬の情報を医療関係者へ伝えてくれる大切なツールです。
かさ張る上に重たいため、煩わしいといったお声があるのは理解していますが、いざという時の助けになってくれる存在です。
お薬手帳の意義をさらに理解していただき、皆さまが適切に安全な医療を受けられるサポートになればと思います。
ゆう薬局グループ 株式会社京都南調剤薬局
薬剤師 志摩 大介氏