塩分を控えめにしても、美味しく満足できる調理の工夫があります。その一つが「味のメリハリをつける」です。主菜にはしっかり味をつけ、副菜は薄めに仕上げると、全体の塩分を抑えても満足感が高まります。また、一つの料理の中で食材の味の濃さを変えるのも効果的です。例えば、肉野菜炒めでは、肉にしっかり味をつけ、野菜を薄味にしてみましょう。一口ごとに味の強弱があると、全体を均一に味つけするよりも、同じ塩分量でも美味しく感じられます。
「食材の表面に味をつける」もぜひ覚えておきたい工夫です。舌の表面にある味蕾は、味を感じるセンサーの役割をしており、食材の表面の塩分は味蕾に直接届きやすく、塩味を強く感じます。ごく少量の塩や醤油を料理の表面にかけたり、食べるときにつけたりする方法がおすすめです。煮物では、途中で食材を取り出し、煮汁を煮詰めてから絡めると、塩分を控えても満足感のある味わいとなります。ちょっとした工夫で、無理なく美味しく減塩が続けられます。ぜひ日々の食事に取り入れてみてください。
田中惠子 教授・博士(薬学)/京都文教短期大学
※HEALATHOの減塩事業は、京都文教短期大学様との協働事業です。