減塩は大切とわかっていても、薄味では物足りないと感じる方は少なくありません。けれども、人の味覚は意外と柔軟で、日々の食習慣によって少しずつ変わっていきます。これは舌の味細胞が約2週間で入れ替わることや、最終的に脳で味を感じることに関係しています。
実際に、病院で減塩食(1日6g)を2週間ほど続けた方からは、「最初は薄いと感じたが、今は十分おいしい」「退院後には市販の惣菜や外食が塩辛く感じられた」といった声が聞かれます。個人差はありますが、数週間から数か月のうちに自然と薄味に慣れていくと考えられています。ご家庭で減塩を始めるときも同じです。最初は物足りなく感じても、そこが乗り越えどころ。味覚が育てば無理なく続けられるようになり、高血圧予防・改善など、健康寿命をのばす成果につながります。
さらに「味覚を育てる」とは、単に薄味に慣れることではありません。野菜本来の甘みなど、素材そのものの繊細なおいしさを感じられるようになります。新たな食の楽しみを発見できるはずです。まずは2週間、ご自身の味覚を育てる気持ちで、少しずつ減塩を試してみませんか。
田中惠子 教授・博士(薬学)/京都文教短期大学
※HEALATHOの減塩事業は、京都文教短期大学様との協働事業です。









