ジャケットに関する悩みや HOW TO 情報を提供し、ジャケットを着用する女性をサポートする活動を行っておられる『ジャケジョ研究所』(株式会社AOKI運営)。
今回、「働く女性の『梅雨ダル』に関する実態調査」を行われました!(対象:全国の働く女性1000名)
その結果、次のようなことが判明したそうです。
- 約7割の方が「梅雨時期に不調を感じる」と回答。メンタルへの影響も深刻
- 多くの方が梅雨時期の不調を「疲れ」や「気合不足」と誤解している可能性。 原因の『梅雨ダル』認知率は3割以下
- 圧倒的多数の方が、不調を感じていても対策をしていない
- 梅雨の3大ストレスは「蒸れ・冷え・汚れ」。服装が体調や気分に影響
- 梅雨の服装は「着心地」を重視。外出時は半数近くが「快適さ」を最優先
- 梅雨の服装選びは「イージーケア」と「ストレス軽減」を重視。3大キーワードは「速乾・通気・軽快」
「梅雨ダル」は気象病のひとつで、正式な病名ではないものの、梅雨の時期に多くの人が感じる体調不良を指す言葉だそうです。
例えば低気圧や湿度の高さ・気温の変化による自律神経の乱れ、頭痛・片頭痛、むくみ、体の冷え(手首・腰など)、肩や首のこり、体のだるさ、倦怠感、朝起きるのが辛いといった症状などです。
ジャケジョ研究所 特任研究員 高尾 美穂氏(※)
(高尾先生のアドバイスに基づき作成されたチェックリスト。梅雨の時期に1つでも当てはまれば「梅雨ダル」の可能性があり、4つ以上当てはまる場合は注意、6つ以上当てはまる場合は要注意で適切なケアが必要だそうです。)
『ジャケジョ研究所』による高尾 美穂氏へのインタビュー
―「気象病」や「梅雨ダル」により、なぜこういった心身の不調が起こりやすくなるのでしょうか。
この時期の不調には複数の要因が絡み合っています。まず1つ目は気圧の変化による「むくみ」です。気圧が下がると体内の水分バランスが崩れやすくなります。脳の組織がむくめば頭痛の原因になりますし、三半規管の内側のむくみは、めまいや乗り物酔いのような気持ち悪さを引き起こします。腸のむくみは便秘やお腹の張りに繋がることもあります。
2つ目は「日照時間の短さ」。太陽の光を浴びることは私たちの24時間のリズムを整えるために不可欠ですが、梅雨時期にこのリズムが崩れると、メンタル面でやる気が出なかったり、うつに近い状態になりやすかったりするというリスクがあるのです。
さらに、3つ目は「睡眠の質の低下」。この時期は快適な気温・湿度の調整が難しく、夜うまく眠れていないことが挙げられます。夜間にリカバリーが十分にできないことが、日中の倦怠感や集中力低下に直結します。まずは『現在の自分の状態がこうだから不調なのだ』と理解して、少し安心してください。その上で、『では、何ができるか』と解決に向けたアクションへ矢印を向けていくことが、次のステップとして望ましいですね。
―梅雨時期のセルフチェックで、不調が多めに出た方へ具体的なアドバイスはありますか?
分にできることから始めてみてください。例えば、お風呂にゆっくり入ってリラックスする。あるいは食事の工夫。キュウリやキウイ、スイカといったカリウムを含む「夏野菜」を意識的に摂ることで、体に溜まった余分な水分(むくみ)を出す手助けになります。
「日照時間が短いこと」への対策としては、太陽が出たときは、積極的に日光を浴びること。そして何より「体のリズム」を意識することが大切です。
本来、私たちの体は目から入る光によって「今は朝だ」と認識し、体内時計を社会の時計に合わせています。でも、どんよりした曇天が続くと、脳が昼か夜か分からなくなってしまう。だからこそ、昼間は少し心拍数を上げる運動をして体に「今は活動する時間だよ」と教え込み、逆に夜は心拍数を落としてリラックスする。自分の意思で直接コントロールできない自律神経やホルモンだからこそ、食事や運動、リラックスタイムといった「自分でコントロールできる行動」を通じて、脳に良いサインを送ってあげることが解決への近道になります。「この環境だから体調がイマイチになる」と言って諦めるのではなく、良い状態を作れる自分なりの『アクション』を選んでみる。何かしらアクションを起こすということをぜひお勧めしたいですね。
―調査では、働く女性の約7割が不調に対して「特に対策をしていない」と回答しています。この結果をどうご覧になりますか?
非常に納得感のある数字です。例えば、生理痛が重いという不調や、生理前に不調を感じる症状を「月経随伴症状」といいますが、月経随伴症状にかなり困っているという人たちですら、実際に婦人科を受診するのは35%程度。残りの65%は自力でどうにかしようとしているのが現状です。
でも、梅雨というのは物理的に「雨が降り、蒸し暑い」という状況が長く続く、哺乳類である私たち人間にとっては決して快適ではない時期。原因がはっきりしているからこそ、実は対策へのアクションも起こしやすいはずです。今は令和の時代です。いまだに「気合で乗り切ろう」とする人は多いですが、自分の根性だけで解決しようとする必要はありません。「何かいいモノないかな?」「誰かいいアイデアを持っていないかな?」と外に目を向けてみる。多くの英知が詰まった商品やサービスに頼ることは、決して甘えではありません。自分を助けてくれるツールを賢く選ぶことで、しんどい梅雨の時期もより軽やかに過ごせるようになるはずです。
さまざまな選択肢を「あり」だと認め、自分が快適に過ごすことは、自分のためであると同時に、周囲の大切な人たちのためにもなります。だからこそ、自分以外の「誰か」や「何か」に頼ることも選択肢として大いにありじゃないかなって思います。
―働く女性にとって、梅雨の湿気やムレは大きなストレスです。服装選びで意識すべきことはありますか?
私が大切にしてほしいのは「心地よさ」です。幸せに働くためには、自分が快適であることが大前提。満員電車で蒸れを感じたり、雨で服が肌に張り付いたりする不快感は、パフォーマンスを大きく下げます。今は技術が進歩して、撥水やストレッチ、防シワといった機能性の高いウェアが手軽に手に入ります。こうしたものを賢く使うのは「令和の時代」を生きる知恵。また、汗をかいたらインナーを着替えたり、自分にとっての「一軍のタオル」を持ち歩いてこまめに肌を拭いたりするのも、快適さをキープして次の仕事へシャキッと向かうための素晴らしいアクションですよ。
―デスクワーク中や移動中にできる、簡単なリフレッシュ法を教えてください。
ジャケットを着用したままでも、デスクや移動中にできる簡単なケアをご紹介します。
①肩の上げ下げ: 肩を耳に近づけるようにギュッと上げ、3〜4秒止めてから一気に脱力します。これを数回繰り返すことで、血流の滞りによる「こり」が和らぎます。
②呼吸ケア: 手の平を外側に向けながら、腕を外側にぐるっと回すだけで、自然と胸が広がります。
胸が広がると1回の呼吸で吸い込める空気の量が増え、1分間の呼吸の回数が減ります。すると自律神経が「副交感神経優位(リラックス状態)」に切り替わり、心拍数が落ちて心がスッと楽になります。
―最後に、仕事や暮らしを担いながら毎日を送る「ジャケジョ」たちへメッセージをお願いします。
バリバリ働いている女性は、とても真面目で、何でも自分一人で解決しようとする傾向があります。しかし、すべてを自分一人の気合で乗り切ろうとする必要はありません。今は便利なテクノロジーやサービス、高機能な衣服があります。
家事なら「今日はデリバリーに頼る」、仕事なら「便利な道具や高機能な服に頼る」。そうやって何かを手放したり、頼ったりすることを自分に許可してみてください。それは決して甘えではなく、自分らしくサステナブルに働き続けるための前向きな選択です。
今って本当に「続けられること(サステナブル)」が大事。いろんなものを誰かや何かに手渡しながら、自分が本当にやりたい一番大切な部分をちゃんと続けていく。それこそが良いあり方なのではないでしょうか。
そして、100点満点の幸せじゃなくてもいい、「今日はまあまあ幸せ」と思える日を増やしていく。そのために、自分が快適でいられる選択を諦めないでほしいなと思います。毎日が完璧な日ばかりではないという現実を受け入れた上で自分にできることを少しずつ試し、継続していくこと。
そして、大きな成果を求めすぎず日々の小さな変化を肯定し、喜ぶ姿勢を持つことが大切です。
私は産婦人科医として、女性にその人らしい人生を幸せに生きてほしいと本気で思っています。女性が無理なく笑っている、やりたいことをやっている世の中は本当に大事で、その周りにいる人たちもきっと幸せになります。
自分がご機嫌でいられる選択をすることは、あなた自身の幸せだけでなく、あなたにとって大切な周囲の人たちにも間違いなく笑顔を届けることに繋がっていくはずですよ。
※愛知医科大学医学部卒・東京慈恵会医科大学大学院修了。同大学附属病院産婦人科助教・東京労災病院女性総合外来などを経て、女性のための総合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長に就任され、婦人科診察を通して女性の健康を幅広くサポートしてこられました。働く女性のための産業医として企業を支えるかたわら、内閣府男女共同参画局・人事局などでの教育講演も担当。日本スポーツ協会では婦人科スポーツドクターとしてスポーツドクターの養成に携わっておられるほか、ヨガ指導者育成のセッションも積極的に行っておられます。









