坐薬/膣坐薬
坐薬には次の2種類があります。
・直腸へ入れるもの
解熱剤やけいれん止め、痛み止め、吐き気止めなどがあります。
・膣へ入れるもの
感染症の治療に使われる薬剤やホルモン剤があります。
効果の現れ方
・体内に入れる
直腸に入れる坐薬は指の第一関節が入る深さに挿入します。膣坐薬は第二関節が入る深さに挿入します。
違和感がなくなる位置まで入れましょう。小児に坐薬を使う場合はなめらかに入るように、ベビーオイルなどを潤滑油代わりに使用してもかまいません。
・体温で溶けて吸収される
坐薬はいずれも体温に近い約30度前後で溶けるように設計されています。暖かいところで保管すると溶けることがありますので、注意しましょう。
夏場など、もし坐薬がやわらかくなったときは、冷たい水で冷やして固めることができます。
よくある質問
Q:坐薬を入れてすぐにお薬が出てきたときはどうすればいいですか。
→入れてすぐに出てきたときは、もう一度薬剤を1回分使いましょう。15分以上経ってから出てきた場合は、半分の量で使用しましょう。30分以上経って便が出た場合、液のようなものが出た時は問題なく投与できていますので、そのまま次の投与までの間隔を守りましょう。
Q:熱けいれんの予防のためのけいれん止めの坐薬と解熱剤の坐薬をつかうときはどのような注意が必要ですか。
→まずけいれん止めの坐薬を投与します。その後30分以上経過してから解熱剤の坐薬を入れます。解熱剤を使うまでの間隔が近いと、けいれん止めの薬剤の吸収が阻害されます。また、けいれんは熱が上がり始めるときに起きやすいため、けいれん止めを先に使用しましょう。
もし、熱が8時間以上続く場合は、2個目のけいれん止めを最初の投与から8時間後に使いましょう。3個目のけいれん止めが必要なときは、2個目の投与から16時間後(1個目の投与から24時間後)に使用しましょう。
坐薬の利点
・吐き気などによって、薬をのめないときにも使える
坐薬は本人が口から薬をのめないときに使うことも可能な剤型です。嘔吐があったり、機嫌が悪かったりして口からのめないこどもに、保護者が使うことで症状をやわらげることができます。
・おうちで投与ができる
坐薬は、飲み薬より早く効果が表れる剤型です。おうちで看護しながら症状を速やかにとることができます。
・食事の影響を受けない
飲み薬は、食事の影響で吸収が遅くなったり早くなったりしますが、坐薬は腸で直接吸収されるので、食事の影響を受けず、一定の効果が期待できます。
・胃腸障害などの副作用が起きにくい
痛み止めの一部には、胃に刺激が強いお薬があります。坐薬の場合、胃を通過せずに痛み止めを全身に効かせることが可能です。
こまだゆう薬局
管理薬剤師 中川 史津氏